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釈王寺本堂(香川県東かがわ市) |
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釈王寺は香川県東かがわ市に所在し、四国八十八箇所番外霊場、讃岐三十三観音霊場五番札所にもなっている。寺伝によれば奈良時代に建立され、その後、平安時代初期に寺院が整備されたとされる。戦国時代には兵火により伽藍が焼亡し、江戸時代中期になって堂宇が再興されたという。
大岡實はここで木造による本堂を設計している。山門をくぐると正面の高台にその本堂が見えてくる。本堂の背後には既存の観音堂がある。配置図を見ると本堂の階段の手前に既存の護摩堂(閻魔堂)があり、閻魔堂と観音堂の間の高台に本堂が設計されたことになる。この位置関係からすると護摩堂は本堂への導線を遮る形ともなり、解体されることになったと思われる。
現地を訪れてみると伽藍の背後には緑豊かな丘陵が続き、人里離れた里山の風景の中に宗教空間としての気分が自然と感じられ、そしてこの飛鳥奈良朝の造形になる本堂がまたその気分を更に盛り上げているようにも感じられた。 |
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配置図/左手に「現存護摩堂」とあるが、閻魔堂とも呼ばれており、本堂建立によって解体されたようだ/右手は現存の観音堂 |
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寄棟造ということもあるが当麻寺本堂(曼荼羅堂)をイメージしているようにもみえる |
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正面立面図 |
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右側面立面図 |
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軒廻り詳細図 |
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大岡實直筆の右側面立面図 |
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左側面/左手の擁壁の上に観音堂(既存)が見える |
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左後方から見る |
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右側面/右端コーナーは閼伽(あか) |
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前面を右手から見る |
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本堂背面/右手の玉石乱積の擁壁(コンクリート壁に貼付)も同時に施工された |
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正面ディテール |
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断面図 |
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天井軒廻り見上図、屋根小屋梁伏図 |
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各部詳細図 |
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縁高欄、閼伽(あか)詳細図 |
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斗拱は平三斗/中備は間斗束 |
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一階床下図 |
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一階平面図 |
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外陣 |
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外陣と内陣を仕切る欄間入り格子戸 |
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格子戸、欄間、折上格天井(内陣)詳細図 |
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左手が観音堂(既存)/ここに本尊の木造聖観音立像(重要文化財)が収蔵されている |
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山門方向を見下ろす |
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山門/木造/この山門は本堂(木造)の施工をした社寺建築工務所の棟梁の一人が後年になって建てたという |
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山門をくぐると正面前方に本堂が見える |
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山門を少し退いて見る/山門の左手背後に本堂の屋根が見えている |
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さて、ここに当時の貴重な写真が残っている。 |
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この写真は設計にあたって現地を訪れ、手前にあった護摩堂(閻魔堂/解体された)前での大岡實(中央)と松浦弘二(右手) |
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この写真は「松浦資料」の釈王寺の資料の中にあったもので、現地調査の後、どこかに立ち寄った際に撮影したものと思われる/背後の建物は何であろうか/いずれにしてもこの時大岡實は高齢となっており、この作品が大岡實が携わり、実現した最後のものとなった(ちなみに完成は大岡實が亡くなった後となっている) |
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大岡實は時代の要請にあった不燃建築(コンクリート造)による社寺建築の設計を旨とし、建築家として邁進してきた訳であるが、必ずしも木造建築を否定してきたわけではなく、発注者の思いと条件が揃えば木造の社寺建築も手掛けているようだ。それは長年に渡り、文化財保存の場に身を置いてきたことからの伝統的社寺建築への深い造詣が、その設計活動の中に一貫して流れていることからも頷けることであろう。
そして木造の釈王寺本堂が大岡實の遺作となったことは、結果として大岡實の伝統的社寺建築への思いを後世に残すことにもなったのではなかろうか。 |
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年月 |
西歴 |
工事名 |
所在地 |
工事期間 |
助手 |
構造設計 |
施工 |
構造種別 |
昭和60
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1985
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釈王寺 本堂 |
香川県東かがわ市 |
昭和60〜63 |
松浦弘二 |
松浦弘二、松本構造設計 |
社寺建築工務所 |
木造、一部RC造 |
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釈王寺 地図 |
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より大きな地図で 大岡實建築研究所 建築作品マップ を表示 |
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