〜社寺建築☆美の追求〜 大岡實の設計手法  大岡實建築研究所
  HOME > 作品目録 > 新築作品 > 神社・寺院 > 本堂 > 高山寺本堂
高山寺(こうざんじ)本堂(和歌山県田辺市)

本堂正面

老樹古木の生い茂る広い境内に、この本堂の他に文化十三年(1816年)に建てられた多宝塔などがある。紀伊之国十三仏の第12番札所となっており田辺大師とも呼ばれると同時に史跡高山寺貝塚や南方熊楠の墓がある古刹となっている。
現住職の先々代の住職が大阪府河内長野市に所在する金剛寺(真言宗御室派大本山)に従事していた関係で大岡實と縁があったという。

多宝塔

史跡高山寺貝塚の説明板

上の画像をクリックすると拡大されます

平面図/内陣左手の控室で位牌壇部分が浜縁(はまえん)側に張り出している

立面図

天井・軒裏見上げ図/屋根伏図

断面図/天井裏も部屋になっており、鉄骨(トラス)で床をつくっている/地下にも部屋がある半地下構造となっている

上記拡大図/天井裏も有効利用するために(つま)壁及び天井裏の屋根にも明り窓を設けている

現寸施工図

上記拡大図/斗拱(ときょう)及び丸桁(がんきょう)の増し反りについての指示

上記拡大図/隅木(すみぎ)の納まり
上記拡大図/正面及び側面の軒反りについての指示/なお、「軒反(のきぞ)りは現寸にて定める」とある/丸桁上端の反り上がりを茅負(かやおい)の反り上がりよりも少なくすることにより、垂木は両端にいくにしたがって、少しずつ勾配がゆるくなり、軒裏全体に軽快感が出てくる「ねじれ軒」の手法をとっている

本堂正面

垂木は省略され、板軒(いたのき)となっている

大斗肘木(だいとひじき)形式となっている/大岡作品の特徴である挿肘木(さしひじき)形式は、昭和40年の時点では、東江寺本堂(昭和38年)における過渡期と思われる形のものはあるが、本格的な挿肘木の作品としては昭和42年の眞光寺本堂を待つこととなる

軒裏隅木

隅柱部分

斗拱と軒裏換気孔

位牌壇部分が張り出しているが、天端は金属板で葺いている

同上

高欄(こうらん)

同上

庫裡との渡廊部分(庫裡は当時木造であったようで、渡廊とも同時期に実施しており、その後、庫裡は現在のRC造に建て替えられたもよう)
豕叉首(いのこさす)式の妻壁部分にスチール組格子越しの明り窓ガラスが見える
ここに大岡實の設計試案が残っている。(向拝(ごはい)が付いている)
年月 西歴 工事名 所在地 工事期間 助手 構造設計 施工 構造種別
昭和40.12 1965 高山寺 本堂 和歌山県田辺市 昭和40.12〜41 松浦弘二 松本曄 大庫建設 RC造

より大きな地図で 大岡實建築研究所 建築作品マップ を表示
Copyright (C) 2012 Minoru Ooka Architectural Institute All Rights Reserved.